STPS労働検査強化でハラスメント認定リスクが高まる今、指示の出し方が鍵に

STPS労働検査強化でハラスメント認定リスクが高まる今、指示の出し方が鍵に

メキシコの職場環境は、ここ数年で大きく変わりつつあります。特に2025~2026年、STPS(労働社会省)の労働検査が本格的に強化され、職場での「言い方」がハラスメント認定の大きなリスク要因となっています。

STPSは2025年の連邦労働検査プログラムで、前年比34%増の43,000件以上の検査を実施する方針を発表。NOM-035(心理社会的リスク要因の防止)や暴力・ハラスメント防止プロトコル、2024年から本格適用されたジェンダー視点の検査プロトコルが徹底されています。さらに、2025年9月開始のSIQAL(オンライン労働苦情システム)により、労働者が簡単に申告できるようになり、検査のスピードと件数が急増しています。

問題の核心は、職場での指示や指摘の「伝え方」です。内容が業務上正しくても、以下のような表現は「心理的暴力」や「acoso laboral(職場ハラスメント)」と判断されやすくなっています。

  • 威圧的な命令調(例:「今すぐやれ」)
  • 個人を責めるような過去追及(例:「なぜこうなった?」)
  • 理由説明なしの禁止・否定(例:「それダメ」「間違ってる」)

これらは、メキシコの職場文化では「配慮不足」「人間関係の無視」と受け止められやすく、スタッフの不信感や報告減少、協力姿勢の低下を招きます。小さなズレが積み重なると、内部不満がSTPSへの申告や労働組合の動きに発展し、ハラスメント認定 → 是正勧告・罰金 → 労務紛争という流れになるケースが実際に増えています。

主な法規制のポイント

  • NOM-035:心理社会的リスクの定期評価・防止義務。違反で高額罰金。
  • ジェンダー検査プロトコル:女性労働者へのハラスメント質問を必須化し、詳細調査。
  • 罰金水準:2026年のUMA調整で、ハラスメント関連違反の罰金額が大幅に上昇する見込み。

今、日常の指示の出し方が、労務リスクを左右する最大のポイントです。現場の安定を保つためには、柔らかい表現の習慣化、理由を添える伝え方、信頼関係を意識したコミュニケーションへの早めのシフトが不可欠。規制がさらに厳しくなる前に、現場の「言い方」を見直すタイミングはまさに今です。

多くの場合、問題は制度ではなく、日常の一言から始まっています。

ここで挙げた例は一部ですが、実際の現場では「どの言い方なら問題になりにくいか」を整理しておくことが重要になります。
指示の出し方や具体的な言い換えのパターンについては、別でまとめています。必要に応じて確認してみてください。

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